賃貸の保証人に必要な資格とは?条件を初心者向けに解説

賃貸契約時に保証人について説明を受ける女性と不動産営業担当者 賃貸の保証人

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賃貸物件を契約する際、多くの場合、貸主から保証人を立てるよう求められます。

しかし、「保証人って誰でもなれるの?」「どんな条件が必要?」「年齢制限はある?」といった疑問を持つ人は少なくありません。

結論からいうと、賃貸の保証人になるための特別な資格試験はありません。

ただし、法律上保証人になることができるかどうかという問題と、実際に貸主や不動産会社から保証人として認めてもらえるかどうかは別の問題です。

本記事では、賃貸における保証人の「法律上の要件」と「貸主が実務上求める条件」を分けて、初心者にも分かりやすく解説します。

賃貸の保証人とは?基本的な役割と資格の考え方

賃貸借契約における保証人とは、借主(入居者)が家賃を支払わなくなった場合などに、一定の範囲でその債務を肩代わりする法的な立場の人です。

貸主にとっては、借主が家賃を滞納した場合などのリスクを軽減するための重要な仕組みです。

保証人に関する法律は、主に民法で規定されています。

ここで重要なのは、保証人になるための「国家資格」や「特別な資格試験」が存在するわけではないということです。

つまり、宅地建物取引士などのように資格試験に合格しなければ保証人になれない、という仕組みではありません。

一方で、実際の賃貸契約では、貸主や不動産会社が独自の審査基準を設けていることがあります。

たとえば、

・安定した収入がある

・日本国内に居住している

・借主との関係性が明確である

・一定の年齢以上である

・収入証明書を提出できる

といった条件を求められるケースがあります。

これらは必ずしも法律で一律に定められた条件ではありません。

「法律上、保証人になれるか」と「貸主の審査に通るか」は分けて考えることが大切です。

保証人に求められる主な資格・条件

賃貸の保証人について、法律上のルールと実務上の条件をそれぞれ確認していきましょう。

1. 年齢要件

民法上の成年年齢は18歳です。

民法4条では、成年となる年齢を18歳と定めています。

そのため、18歳以上であれば、単独で保証契約を結ぶこと自体は法律上可能です。

一方、18歳未満の未成年者が保証契約を結ぶ場合には、原則として法定代理人(親権者など)の同意が必要です。

民法5条1項では、未成年者が法律行為をする場合、原則として法定代理人の同意が必要とされています。

同意を得ずに契約をした場合、当然に無効になるわけではなく、取り消すことができる契約として扱われます(民法5条2項)。

ただし、法律上保証人になれるかどうかとは別に、実務上は未成年者が賃貸の保証人として認められるケースはほとんどありません。

貸主や管理会社が独自の審査基準として、成人であることを求めるケースが一般的です。

そのため、実際に保証人を探す場合は、18歳以上であることに加えて、貸主側の条件を確認する必要があります。

2. 個人が保証人になる場合、極度額の定めが必要

賃貸の保証人について、特に注意したいのが「極度額」です。

2020年4月1日以後に締結された、個人が賃貸の連帯保証人になる契約は、継続的に発生する家賃債務などを保証する「個人根保証契約」に該当する場合があります。

個人根保証契約では、保証人が負担することになる金額の上限である「極度額」を定めなければ、保証契約は効力を生じません。

これは民法465条の2に定められています。

極度額とは、簡単にいえば「保証人が負担する可能性がある金額の上限」です。

たとえば、契約書に極度額として「300万円」と記載されていれば、一定の条件のもとで保証人が負担する保証債務の上限額が300万円となります。

したがって、賃貸の連帯保証人になる場合は、契約書に極度額が記載されているか、その金額がいくらなのかを必ず確認することが重要です。

極度額の定めがない場合には、保証契約の効力そのものが問題になる可能性があります。

なお、2020年3月31日以前に締結された契約については、改正前の民法が適用される場合があります。

契約時期によって適用される法律が異なるため、古い契約については現在のルールだけで判断しないよう注意してください。

3. 日本国内に住所がある

法律上、保証人の居住地を日本国内に限定する規定があるわけではありません。

しかし、実際の賃貸契約では、日本国内に住所があることを条件としている貸主や管理会社があります。

保証人に家賃などの支払いを求める必要が生じた場合、連絡や書類の送付などをスムーズに行う必要があるためです。

特に海外在住者の場合、貸主側から「国内在住の保証人を用意してください」と求められることがあります。

これは法律上の欠格事由ではなく、あくまで貸主や管理会社の実務上の判断です。

4. 安定した収入がある

保証人には、借主が家賃を支払えなくなった場合に代わって支払う可能性があります。

そのため、貸主や管理会社は、保証人に十分な支払い能力があるかを確認することがあります。

たとえば、

・会社員

・公務員

・年金受給者

・安定した事業収入がある自営業者

などが保証人として認められるケースがあります。

ただし、「年収○万円以上でなければ保証人になれない」といった全国一律の法律上の基準が存在するわけではありません。

必要とされる収入の水準は、貸主・管理会社・保証会社などによって異なります。

そのため、保証人をお願いする前に、必要な収入条件があるか確認しておくと安心です。

5. 身分証明書を提示できる

賃貸契約で保証人になる場合、本人確認のために身分証明書の提出を求められることがあります。

代表的なものとして、

・運転免許証

・マイナンバーカード

・パスポート

などがあります。

また、契約内容によっては印鑑登録証明書や住民票、収入証明書などを求められることもあります。

ただし、保証人が提出すべき書類について法律上の統一された一覧が定められているわけではありません。

必要書類は貸主や管理会社によって異なるため、事前に確認してください。

なお、従来の健康保険証は2024年12月2日以降、新規発行が終了しています。

その後、2025年12月1日をもって従来の健康保険証は原則として使用できなくなっています。

本人確認書類として何が利用できるかについても、契約先に確認するのが確実です。

6. 信用情報に問題がない場合が多い

保証会社を利用する賃貸契約では、保証会社が独自の審査を行います。

その審査の内容によっては、信用情報が確認される場合があります。

一方、貸主や管理会社が個人保証人の信用情報を必ず直接照会するという仕組みが一般的に存在するわけではありません。

実際にどのような情報が確認されるかは、契約形態や貸主、管理会社、保証会社によって異なります。

「信用情報に問題がある人は法律上保証人になれない」という意味ではありません。

あくまで、貸主や保証会社が契約上のリスクを判断するための審査基準として考える必要があります。

保証人として認められにくいケース

ここから紹介するのは、法律上の「欠格事由」ではありません。

あくまで、貸主や管理会社などの審査実務上、保証人として認められにくいケースです。

未成年者

18歳未満でも、法定代理人の同意があれば法律上保証契約を結べる場合があります。

しかし、実際の賃貸契約では、未成年者を保証人として認めないケースが一般的です。

無職または収入が不明確な人

保証人には支払い能力が求められるため、無職で収入がない人や、収入状況を確認できない人は保証人として認められにくい場合があります。

ただし、年金収入などがある場合は認められることもあります。

過去に家賃滞納などの問題がある人

過去に家賃滞納などのトラブルがあった場合、貸主から保証人として認められない可能性があります。

ただし、具体的な判断基準は貸主や管理会社によって異なります。

借主との関係性が遠い人

貸主によっては、保証人を「親」「兄弟」「子ども」など一定範囲の親族に限定していることがあります。

一方、友人や知人でも保証人として認められるケースがあります。

法律上、「保証人は親族でなければならない」という決まりはありません。

したがって、友人だから法律上保証人になれないということではありません。

あくまで契約先の条件によって決まります。

生活保護を受給している人は保証人になれる?

生活保護を受給している人についても、法律上「保証人になれない」と一律に定められているわけではありません。

ただし、貸主や管理会社から、安定した収入や支払い能力を理由に保証人として認められない場合があります。

保証人を立てることが難しい場合には、家賃債務保証会社の利用、自治体の制度、公営住宅、UR賃貸など、別の選択肢を検討できる場合があります。

利用できる制度は地域や住宅によって異なるため、福祉事務所や自治体の窓口などに相談してみるとよいでしょう。

詐欺や強迫で保証人にされた場合はどうなる?

保証人になるつもりがなかったのに、だまされたり、脅されたりして保証契約を結んでしまった場合には、契約を取り消せる可能性があります。

民法96条では、詐欺または強迫による意思表示について、一定の要件のもとで取り消すことができると定めています。

ただし、誰からどのような方法でだまされたのかによって法律上の扱いが異なります。

たとえば、主債務者である家族や知人にだまされたケースでは「第三者による詐欺」の問題となり、債権者がその事実を知っていた、または知ることができた場合に限って取消しが問題となります(民法96条2項)。

これは「保証人になる資格」の問題ではありません。

すでに保証契約を締結してしまった後、その契約を取り消せるかどうかという別の問題です。

心当たりがある場合は、契約書や経緯が分かる資料を用意し、早めに法律専門家へ相談することをおすすめします。

保証人と連帯保証人の違い

賃貸契約では、単なる「保証人」ではなく「連帯保証人」が求められることが一般的です。

この2つには重要な違いがあります。

保証人(単純保証)

通常の保証人には、「催告の抗弁権」があります。

これは、債権者から支払いを求められた場合に、「まず借主本人に請求してください」と主張できる権利です(民法452条)。

また、「検索の抗弁権」もあります。

これは、借主に弁済する資力があり、かつ執行が容易であることを保証人自身が証明した場合に、「まず借主の財産から回収してください」と主張できる権利です(民法453条)。

ただし、これらは保証人が支払い義務そのものから逃れられる権利ではありません。

あくまで、債権者が誰に先に請求するかという順番に関する権利です。

連帯保証人

連帯保証人には、通常の保証人が持つ催告の抗弁権や検索の抗弁権がありません(民法454条)。

そのため、貸主は借主本人だけでなく、連帯保証人に対して直接支払いを求めることができます。

賃貸借契約では連帯保証人が求められるケースが多いため、「保証人になる」と頼まれた場合には、単純保証なのか連帯保証なのかを必ず確認しましょう。

保証人になる前に確認しておきたいこと

保証人になることは、家族や友人を助けるための行為であっても、法律上は大きな責任を伴います。

署名する前に、少なくとも次の点を確認しておきましょう。

契約書の内容を確認する

まず、何の保証をするのかを確認してください。

特に、

・保証する債務の範囲

・極度額

・契約期間

・連帯保証なのか単純保証なのか

・保証人が負担する可能性のある費用

などを確認することが重要です。

極度額を確認する

個人が賃貸の根保証契約を締結する場合、極度額が重要になります。

極度額がいくらなのか分からないまま署名するのは避けましょう。

「家賃だけを保証すると思っていたら、契約書には別の費用まで含まれていた」ということもあり得るため、保証の範囲を確認することが大切です。

借主本人の支払い能力を確認する

保証人になる前に、借主本人が家賃を継続的に支払える状況なのかも確認しておくと安心です。

「絶対に滞納しないから」と言われても、将来の収入や生活状況まで保証できるわけではありません。

保証人になるということは、万一の場合に自分が支払う可能性を引き受けることです。

複数の契約で安易に保証人にならない

家族や友人から頼まれると断りづらいこともありますが、複数の賃貸契約で保証人になる場合は注意が必要です。

それぞれの契約について責任を負う可能性があるため、自分の経済状況を考えて慎重に判断してください。

保証人の実務的な準備

法律上、保証人が提出すべき書類が一律に定められているわけではありません。

しかし、賃貸契約では次のような書類を求められることがあります。

・身分証明書のコピー

・印鑑登録証明書

・保証書(貸主指定のフォーマット)

・収入証明書

・住民票

・その他、貸主や管理会社が指定する書類

必要な書類は契約によって異なります。

保証人になることが決まったら、事前に貸主や不動産会社へ必要書類を確認しておきましょう。

保証人になる前のチェックリスト

保証人として署名する前に、次の項目を確認しておくと安心です。

・借主が誰なのか確認した

・どの物件の保証なのか確認した

・保証する範囲を確認した

・連帯保証人なのか確認した

・極度額を確認した

・契約期間を確認した

・自分が支払う可能性のある金額を確認した

・契約書を最後まで読んだ

・不明な点を貸主や不動産会社に確認した

・必要に応じて法律専門家に相談した

少しでも分からない点がある場合は、その場で署名せず、納得してから契約することが大切です。

よくある質問

親が高齢でも保証人になれますか?

年齢そのものに法律上の上限はありません。

そのため、高齢だからという理由だけで法律上保証人になれないわけではありません。

ただし、貸主や管理会社が保証人の年齢や収入、支払い能力などを考慮して判断することがあります。

たとえば、年金収入だけの場合には保証人として認められないケースもあります。

実際に認められるかどうかは、契約先に事前に確認することをおすすめします。

配偶者がいない場合、友人を保証人にできますか?

法律上は可能です。

「保証人は親族でなければならない」という法律上の決まりはありません。

ただし、貸主や管理会社が保証人を親族に限定している場合があります。

友人を保証人にしたい場合は、契約前に不動産会社や貸主へ確認してください。

保証人は1人でないといけませんか?

法律上、複数の保証人を立てることも可能です。

通常の保証人(単純保証)が複数いる場合には、原則として人数で分けた範囲の責任にとどまる「分別の利益」が問題になります。

一方、賃貸契約で多く見られる連帯保証の場合は、単純に人数で責任が半分になるわけではありません。

複数の連帯保証人がいる場合には、それぞれが大きな責任を負う可能性があります。

「保証人が2人いるから負担は半分になる」とは限らない点に注意してください。

保証人になった後、やめることはできますか?

保証人が自分の意思だけで一方的に保証契約をやめることは、原則としてできません。

また、借主が退去して賃貸借契約が終了した場合でも、それまでに発生していた未払い家賃や原状回復費用などについて、保証人の責任が残る可能性があります。

「借主が退去したから保証人の責任もすべてなくなる」とは限りません。

契約内容によって責任の範囲や終了時期が異なるため、不安がある場合は契約書を確認し、必要に応じて専門家へ相談してください。

まとめ|賃貸の保証人に特別な資格は必要ない

賃貸の保証人になるための「資格試験」はありません。

ただし、法律上保証人になれることと、実際に貸主や不動産会社から保証人として認められることは別の問題です。

ポイントを整理すると、次のとおりです。

・保証人になるための特別な国家資格や資格試験はない

・18歳以上であれば、法律上は単独で保証契約を結ぶことが可能

・18歳未満の場合は、原則として法定代理人の同意が必要

・個人の賃貸根保証では、極度額の定めが重要

・日本国内の住所や安定した収入を求められることがある

・身分証明書や収入証明書などの提出を求められることがある

・親族を保証人に限定するかどうかは貸主や管理会社の判断

・保証人と連帯保証人では責任の範囲が異なる

・保証人になる前には契約書と極度額を必ず確認する

特に注意したいのが、連帯保証人になる場合です。

家族や友人から「名前を書くだけだから」「何かあっても迷惑はかけないから」と頼まれても、実際には家賃の滞納などが発生した場合に支払いを求められる可能性があります。

保証人になることを頼まれた場合は、借主との関係だけで判断するのではなく、自分自身がその責任を負えるかどうかを考えたうえで判断してください。

もし保証人を頼める人が見つからない場合には、家賃債務保証会社を利用する方法などもあります。

国土交通省が公表した資料では、2018年時点で新規の賃貸借契約の約6割が家賃債務保証会社(機関保証)を利用している状況が示されています。

家族や友人に保証人を頼むことが難しい場合には、保証会社を利用できる物件を探すことも選択肢の一つです。

また、保証人になるかどうか迷っている場合や、契約書の内容、特に極度額や保証の範囲について不安がある場合は、自己判断で署名する前に専門家へ相談することをおすすめします。

日本総合支援協会(JTS)は弁護士事務所ではなく、法的な代理や交渉を行う機関ではありません。

法的な判断が必要な場合は、弁護士・司法書士、または法テラスなどに相談してください。

契約内容の確認方法や、保証人を用意できない場合の選択肢について整理したい場合は、JTSのような相談窓口を検討することもできます。

【日本総合支援協会(JTS)の相談窓口はこちら】


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