連帯保証人とは、主たる債務者(借主など)が負う債務について、主たる債務者と連帯して保証する人のことです。
連帯保証人になると、主たる債務者が返済をしない場合、債権者から直接支払いを求められることがあります。一般の保証人も直接請求されること自体はありますが、「まず主たる債務者に請求してほしい」と主張できるのに対し、連帯保証人にはこの主張(催告の抗弁権・検索の抗弁権)が認められず、保証人よりも重い責任を負うことになります。
ただし、連帯保証人は「連帯債務者」と同じものではありません。連帯保証人はあくまで保証契約に基づいて責任を負う「保証人」です。
この記事では、連帯保証人の意味や一般の保証人との違い、負う可能性のある責任、連帯保証人になる前に確認しておきたいポイントについて解説します。
連帯保証人とはどのような存在か
連帯保証人は、主たる債務者が負っている債務について、主たる債務者と連帯して保証債務を負う人です。
そもそも保証契約は、書面(または電磁的記録)でしなければ効力を生じません(民法446条2項・3項)。口頭で「保証人になる」と言っただけでは、法律上の保証契約は成立しません。
たとえば、Aさんが金融機関から100万円を借り、Bさんが連帯保証人になったとします。Aさんが返済期日に返済をしなかった場合、金融機関はAさんに請求することなく、いきなりBさんに全額を請求することもできます(民法454条)。
重要なのは、連帯保証人には、一般の保証人に認められている「催告の抗弁権」や「検索の抗弁権」がないことです。民法454条では、主たる債務者と連帯して債務を負担した保証人は、これらの権利を有しないと定められています。
連帯保証人の主な特徴
連帯保証人には、主に次のような特徴があります。
- 主たる債務者が返済しない場合、債権者から直接請求されることがある
- 一般の保証人に認められる催告の抗弁権がない
- 一般の保証人に認められる検索の抗弁権がない
- 保証契約の内容に応じて、元本だけでなく利息や遅延損害金などについても責任を負う場合がある
ただし、連帯保証人の責任の範囲は、具体的な保証契約や主たる債務の内容によって異なります。
連帯保証人が負う可能性のある責任
1. 主たる債務についての支払い責任
主たる債務者が返済をしない場合、連帯保証人は保証契約の範囲内で、その債務について支払う責任を負うことがあります。ただし、「必ず連帯保証人が借金の全額を負担する」と一律に決まっているわけではなく、保証契約の内容や主たる債務の残額などによって実際の責任範囲は変わります。
2. 債権者から直接請求される可能性がある
一般の保証人も、債権者から直接請求を受けること自体はあります。ただしその際、「まず主たる債務者に催告してほしい」(催告の抗弁権・民法452条)、それでも主たる債務者に返済する資力・執行の容易性があれば「まず主たる債務者の財産から回収してほしい」(検索の抗弁権・民法453条)と主張できます。連帯保証人にはこれらの抗弁権がないため、請求されれば原則としてそのまま応じなければなりません。
3. 遅延損害金などについて責任を負う場合がある
主たる債務者の返済が遅れた場合、契約内容などに応じて遅延損害金などが発生することがあります。保証の対象に含まれる範囲で、連帯保証人もこれらについて責任を負う場合があります。
4. 保証人が複数いても全額の責任を負う(分別の利益がない)
保証人が複数いる場合、一般の保証人には「分別の利益」があり、債務額を保証人の頭数で割った範囲でしか責任を負いません(民法456条、427条)。たとえば300万円の債務に保証人が3人いれば、一般の保証人は各自100万円までです。
これに対し、連帯保証人には分別の利益がなく、保証人が何人いても、各自がそれぞれ全額(300万円)について責任を負います。
連帯保証人が支払った場合はどうなるのか(求償権)
肩代わりして弁済した連帯保証人は、主たる債務者に対して、支払った分の返還を求めることができます(求償権・民法459条以下、委託を受けずに保証人になった場合は462条)。ただし、主たる債務者に返済する資力がなければ、実際には回収できない場合もあります。
連帯保証人と一般の保証人の違い
「保証人」と呼ばれる人には、一般の保証人と連帯保証人があります。両者はどちらも主たる債務者の債務について保証する立場ですが、債権者から請求を受けた際に主張できる権利や、複数の保証人がいる場合の責任範囲に違いがあります。
一般の保証人に認められる「催告の抗弁権」
一般の保証人には、原則として「催告の抗弁権」(民法452条)があります。債権者から直接請求されたとしても、「まず主たる債務者に請求してください」と求めることができる権利です。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けた場合や、その行方が分からない場合などには、この権利を行使できません。連帯保証人には、この催告の抗弁権がありません。
一般の保証人に認められる「検索の抗弁権」
一般の保証人には「検索の抗弁権」(民法453条)もあります。債権者が主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が「主たる債務者には返済する資力があり、かつ、その財産に対する強制執行も容易である」ことを証明した場合、債権者に対して、まず主たる債務者の財産から回収するよう求めることができます。なお、保証人がこの抗弁権を行使したにもかかわらず、債権者が催告や執行を怠ったために主たる債務者から全額の弁済を得られなかった場合、直ちに催告・執行していれば弁済を得られたはずの限度で、保証人は責任を免れます(民法455条)。連帯保証人には、この検索の抗弁権もありません。
一般の保証人に認められる「分別の利益」
上記のとおり、保証人が複数いる場合、一般の保証人には債務額を頭割りした範囲でしか責任を負わない「分別の利益」があります(民法456条)。連帯保証人にはこの分別の利益がありません。
比較表:連帯保証人と一般の保証人
| 項目 | 連帯保証人 | 一般の保証人 |
|---|---|---|
| 直接請求されること自体 | される | される |
| 催告の抗弁権(まず主債務者へ、と主張できるか) | なし | あり(一定の例外あり) |
| 検索の抗弁権(主債務者の財産から先に、と主張できるか) | なし | あり(資力・執行の容易性を証明した場合) |
| 分別の利益(保証人が複数の場合の頭割り) | なし | あり |
| 責任の重さ | 一般の保証人より重い | 連帯保証人より限定される |
※具体的な権利や責任の範囲は、保証契約や主たる債務の内容によって異なります。
「連帯保証人=連帯債務者」ではない
ここは特に注意が必要です。連帯保証人と連帯債務者は、似た言葉ですが法律上は別の制度です。
連帯保証人は、主たる債務者の債務を保証する「保証人」です。一方、連帯債務者は、複数の債務者がそれぞれ債権者に対して債務の全部を履行する義務を負う制度です(民法436条)。
そのため、「連帯保証人は民法上、連帯債務者として位置付けられる」という説明は正確ではありません。なお、連帯保証人について生じた一定の事由の効力については、連帯債務に関する規定の一部が準用されます(民法458条)。
連帯保証人になる際の注意点
連帯保証人は主たる債務者の返済を肩代わりする可能性がある
連帯保証人になると、主たる債務者が返済をしない場合に、自分が支払いを求められる可能性があります。そのため、「名前を貸すだけ」「万が一のときだけだから大丈夫」と安易に考えるのは危険です。実際に連帯保証人になる場合は、主たる債務者がどのような契約を結ぶのか、保証の範囲がどこまでなのかを確認することが重要です。
2020年施行の民法改正による保証人保護のしくみ
2020年(令和2年)4月1日に施行された改正民法では、個人が保証人になる場合の保護規定が新設されています。契約時期によって適用の有無が変わるため、ご自身の契約がいつ結ばれたものかも確認してください。
- 事業のための貸金等債務を個人が保証する場合の公正証書要件(民法465条の6):事業のために負担する貸金等債務について、個人が保証人になる契約は、契約前1か月以内に公証人が作成する公正証書で保証意思を確認しなければ効力を生じません(経営者本人が保証人になる場合など一定の例外あり)。
- 主たる債務者の情報提供義務違反による取消権(民法465条の10):主たる債務者が、保証人になることを依頼する際に財産状況や他の債務の状況について事実と異なる情報を提供し、そのために保証人が誤認して契約した場合、一定の要件のもとで保証契約を取り消せる可能性があります。
- 債権者の情報提供義務(民法458条の2・458条の3):保証人から請求があれば、債権者は主たる債務の履行状況等を通知する義務を負います。
これらは「保証人になってしまったが、実は救済手段があるかもしれない」という場合に重要な規定です。心当たりがある場合は、専門家に相談することをおすすめします。
借入金額と返済条件を確認する
- 借入金額はいくらか / 月々の返済額はいくらか / 返済期間はどのくらいか / 利息や遅延損害金についてどのような定めがあるか / 保証の範囲はどこまでか / 保証契約に上限額が定められているか
主たる債務者の返済能力を確認する
- 安定した収入があるか / 他にも借入れがあるか / 過去に返済を滞納したことがないか / 今後も返済を継続できる見込みがあるか
契約書を自分で確認する
連帯保証人になる場合は、保証契約書や主たる契約書の内容を確認し、自分がどこまでの責任を負うのかを理解しておくことが重要です。特に、保証の対象となる債務、保証期間、保証限度額などについて確認しましょう。なお、保証契約自体が書面(または電磁的記録)でなければ効力を生じない(民法446条2項・3項)ため、口頭だけのやり取りで保証人にされることはありません。
連帯保証人の責任は「一生続く」の?
「連帯保証人になったら、一生責任が続く」という説明は正確ではありません。保証責任がいつまで続くかは、主たる債務の内容、保証契約の内容、保証の種類などによって異なります。
また、一定の範囲に属する不特定の債務を保証する「個人根保証契約」については、個人保証人を保護するため、極度額(保証人が責任を負う金額の上限)を書面(または電磁的記録)で定めなければ、保証契約はその効力を生じません(民法465条の2)。このルールは2020年4月1日以降に締結・更新された契約に適用されるもので、それ以前に締結された契約には原則として適用されません。住宅などの賃貸借契約の保証人も、個人根保証に該当する場合があります。
したがって、「連帯保証人になったら一生無制限に責任を負う」と考えるのではなく、契約書に記載された保証の範囲や期間、極度額、そして契約時期を確認することが重要です。
連帯保証人の責任から逃れることはできる?
保証契約は債権者との契約であるため、連帯保証人の一方的な意思表示だけで解除することは原則としてできません。期間の定めのない継続的な保証などで例外的に解約の余地が議論されることはありますが、個別の判断が必要です。
一方で、前述の「主たる債務者の情報提供義務違反による取消権」(民法465条の10)のように、契約時の事情によっては保証契約自体を取り消せる可能性もあります。
そのため、連帯保証人をやめたい場合には、まず保証契約書と契約時の経緯を確認し、必要に応じて債権者や弁護士などの専門家に相談することが重要です。
まとめ:連帯保証人になる前に契約内容を確認しましょう
連帯保証人は、主たる債務者の債務について保証責任を負い、一般の保証人とは異なり、催告の抗弁権や検索の抗弁権を持ちません。
そのため、主たる債務者が返済をしない場合、債権者から連帯保証人に直接支払いを求められる可能性があります。
一方で、連帯保証人の責任が「一生無制限に続く」というわけではなく、保証契約の内容や主たる債務の種類、保証の範囲などによって責任の範囲は異なります。
連帯保証人になる場合は、借入金額や返済期間だけでなく、保証の範囲、保証期間、極度額などを契約書で確認し、自分が負う可能性のある責任を十分に理解したうえで判断することが大切です。
保証契約について具体的な問題やトラブルを抱えている場合は、契約書を持参して弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
よくある質問
連帯保証人と保証人は何が違うのですか?
連帯保証人と一般の保証人は、どちらも主たる債務者の債務を保証する立場ですが、連帯保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権・分別の利益がありません。そのため、連帯保証人は一般の保証人よりも重い責任を負うことになります。
連帯保証人は直接請求されることがありますか?
はい。一般の保証人も直接請求されること自体はありますが、催告の抗弁権(民法452条)によって「まず主たる債務者に」と主張できます。連帯保証人にはこの主張ができないため、請求されればそのまま応じなければならない可能性が高くなります。
連帯保証人は借金の全額を支払うのですか?
保証契約の内容や主たる債務の残額などによって異なります。保証の対象となる範囲には、元本だけでなく、利息や遅延損害金などが含まれる場合があります。また、保証人が複数いても分別の利益がないため、各自が全額について責任を負う可能性があります。
連帯保証人になったことを忘れていた場合、請求を受けることはありますか?
連帯保証人として有効な保証契約を締結している場合、単に保証人になったことを忘れていたという事情だけで保証責任がなくなるわけではありません。主たる債務の返済状況や保証契約の内容によっては、債権者から請求を受ける可能性があります。
連帯保証人をやめることはできますか?
本人の意思だけで一方的に保証契約を解除することは原則としてできません。ただし、主たる債務者が保証人になることを依頼する際に事実と異なる情報を提供していた場合など、一定の要件のもとで契約を取り消せる可能性があります(民法465条の10)。まず契約書を確認し、必要に応じて専門家に相談しましょう。
連帯保証人の責任には上限がありますか?
保証の種類によって異なります。特に個人が根保証人となる「個人根保証契約」では、極度額を書面等で定める必要があり、極度額の定めがない場合には保証契約が効力を生じません(民法465条の2)。ただし、このルールは2020年4月1日以降に締結・更新された契約に適用されるものです。
連帯保証人が肩代わりして支払った場合、取り戻すことはできますか?
はい。連帯保証人が弁済した場合、主たる債務者に対して支払った分の返還を求める権利(求償権)があります(民法459条以下)。ただし、主たる債務者に資力がなければ、実際に回収できるとは限りません。


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